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					Introduction

					“通夜ぶるまい”は、
					かつて親父がつくってくれた、目玉焼きだった…。

					父が亡くなった。通夜の夜、母が仕出し屋を突然キャンセルし、出した「通夜ぶるまい」は目玉焼き。
					みんなが戸惑う中、次々と出てくる料理。それは1冊のノートに残された父の思い出の味。
					父との時間が蘇り、家族も知らなかった秘密が浮き彫りになっていく……。
				Itroduction

染谷将太、戸田恵梨香、窪塚洋介、斉藤由貴、永瀬正敏
日本映画界の実力派が夢の競演!

  • 構想7年の渾身の脚本には、豪華キャスト陣が結集し、見事なアンサンブルを奏でる。主人公・麟太郎役はヴェネチア国際映画祭で日本人初となるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した『ヒミズ』(11)を始め、幅広い作品で多彩な顔を演じ分ける実力派・染谷将太。仕事に悩み、家族への持て余した感情を抱きながらも、抑えた表情で演じた。 その姉・美也子役には2019年後期NHK連続テレビ小説「スカーレット」でヒロインを務める戸田恵梨香。ある事件をきっかけに、家族の元を離れ、15年ぶりに姿を見せる兄シュン役にはマーティン・スコセッシ監督の『Silence-沈黙-』(17)の窪塚洋介。さらに円熟味を増したベテラン斉藤由貴、日本映画界を代表する名優・永瀬正敏が、両親役で圧倒的な存在感を見せる。また、新海誠監督の最新アニメ『天気の子』のヒロインの声に抜擢された森七菜や白石晃士監督最新作『地獄少女』(11月15日公開)でメインキャストに抜擢された楽駆を始めとする、若手の瑞々しい演技も注目だ。

  • 場面写真1
  • 場面写真2
  • 監督と脚本を手掛けるのは、サザンオールスターズのドキュメンタリー映画をはじめとし、コマーシャル、ミュージックビデオなど様々な分野で高く評価される常盤司郎監督。短編映画でも国際的な評価を受けてきた。本作が満を持しての長編映画デビュー作となる。
    この才能を後押ししようと、『HANA-BI』(98)の撮影・山本英夫らベテラン映画陣がバックアップ。常盤監督のキャストの内面を引き出す粘り強い演出、小津安二郎監督作品を思わせるロー・アングルの構築美。さらには、もう一度“家族になる瞬間”を、通夜から葬式にかけて、たった1日で物語を紡いた構成力には、新たな才能の登場を感じずにはいられない。
    古くは伊丹十三監督の『お葬式』(84)から、『死ぬまでにしたい10のこと』(03)『エンディングノート』(11)『おみおくりの作法』(13)など終活、生き方への注目が集まる中、新たな〈おみおくりの物語〉が誕生した。


					Story
					忘れられない味で僕らはもう一度、家族になった。
				Story

独立して2年目となるカメラマン、東麟太郎(染谷将太)は、姉の美也子(戸田恵梨香)とともに薄暗い病院の食堂で、麺がのびきったラーメンを食べている。 「親父が死んだ……。65歳になる直前の、夏至の日の明け方だった」 久しぶりに故郷に帰ってきた麟太郎は病室で亡き父・日登志(永瀬正敏)と対面し、葬儀の準備をしながら、ありし日の家族を思い出す。
通夜の準備が進む実家の縁側で、麟太郎がつまらなそうにタバコを吸っていると、居間では、ちょっとした騒動が起きていた。通夜ぶるまいの弁当を、母・アキコ(斉藤由貴)が勝手にキャンセルしていたのだ。なにもないテーブルを見つめて戸惑う親戚たち。母は自分で作るという。それが父の遺言だ、と。やがて最初の料理が運ばれてくると、通夜の席はまた、ざわつき出した。母が盆で運んできた料理は目玉焼きだった。
戸惑いながらも、箸をつける麟太郎。目玉焼きの裏面を摘む。ハムにしてはやけに薄く、カリカリしている。 「これ、親父が初めて作ってくれた、料理です」

  • Story Image 1
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登山家だった父・日登志と母・アキコは再婚同士で、20年前に家族となった。麟太郎(外川燎)が7歳、美也子(森七菜)が11歳の夏だった。 新しく母となったアキコには、17歳になるシュン(楽駆)という男の子がいた。
5人はギクシャクしながらも、何気ない日常を積み重ね、気持ちを少しずつ手繰り寄せ、お互いにちょっとだけ妥協し、家族として、暮らしはじめていた。 それは平凡だけど、穏やかな日々だった。
しかし、1本の電話が、まるで1滴の染みが広がるように、この家族を変えていく…… 。

そして兄のシュンは、父と2人で山登りへ行った翌日、自分の22歳の誕生日に突然、家を出て行った。

父も母もなぜか、止めようとはしない。以来、家族5人が揃うことはなかった。
次々と出される母の手料理を食べるたび、家族として暮らした5年間の思い出が麟太郎たちの脳裏によみがえる。
それは、はじめて家族として食卓を囲んだ記憶だった。
兄弟で焼いた焼き芋、父と兄が山で食べたピザ、姉の喉に刺さった焼き魚の小骨。あのとき、家族になれたはずだった。

あの日、父と兄になにがあったのか? 死の寸前、父はなにを思ったのか?
姉が抱えている小さなキズとは? 母が長年隠し続けてきたこととは?
家族として過ごした5年間という時間。それは、短かったのか?長かったのか?

父の死をきっかけに、止まっていた家族の時がゆっくりと動き出す。

そして通夜ぶるまいも終盤に差しかかったその時、兄のシュン(窪塚洋介)が15年ぶりに帰ってきた……。


					Cast & Staff
				Cast & Staff

染谷将太
染谷将太
Shota Sometani
東麟太郎
1992年、東京都出身。子役として活動し、2009年『パンドラの匣』で映画初主演を果たす。2011年に主演を務めた『ヒミズ』(園子温監督)では第68回ヴェネチア国際映画祭で 日本人初となるマルチェロ・マストロヤンニ賞を、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、国内外から注目を集める。日中合作映画『空海 -KU-KAI-』(18/チェン・カイコー監督) では、主人公・空海を演じた。2 0 2 0年NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で織田信長役に抜擢され話題となっている。その他の主な出演作には『悪の教典』(12/三池崇史監督)、 『永遠の0』(13/山崎貴監督)、『寄生獣』(14、15/山崎貴監督)、『バケモノの子』、『映画 みんな!エスパーだよ!』(園子温監督)、『バクマン。』(15/大根仁監督)、『海賊と呼ばれた男』(16/山崎貴監督)、『3 月のライオン』(17/大友啓史監督)、『きみの鳥はうたえる』(18/三宅唱監督)、『パラレルワールド・ラブストーリー』(19/森義隆監督)など多数。
戸田恵梨香
戸田恵梨香
Erika Toda
北島(東)美也子
1988年、兵庫県出身。ドラマ「エンジン」(05/フジテレビ)、「野ブタ。をプロデュース」(05/日本テレビ)で注目を浴びる。『デスノート』2部作(06/金子修介監督)で映画デビューを果たし、10年ぶりの続編『デスノート Light up the NEW world』(16/佐藤信介監督)にも出演。主な出演作に「ライアーゲーム」シリーズ(07~/フジテレビ)、「SPEC」シリーズ(10~/TBS)など。また「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」(08~/フジテレビ)テレビシリーズに続き、同作品の映画版『劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(18/西浦正記監督)に出演。日本興行収入92億超え、実写邦画歴代5位を記録。2018年、大ヒットドラマ「大恋愛~僕を忘れる君と」(TBS)では若年性アルツハイマーに侵される主人公を好演し、名実ともに最新作が楽しみな女優となった。さらに2019年後期のNHK連続テレビ小説「スカーレット」のヒロインにも決定。その他、『駆込み女と駆出し男』(原田眞人監督)、『エイプリルフールズ』(15/石川淳一監督)、『あの日のオルガン』(19/平松恵美子監督)など多数活躍中。
窪塚洋介
窪塚洋介
Yosuke Kubozuka
東シュン
1979年、神奈川県横須賀市出身。1995年「金田一少年の事件簿」(日本テレビ)で俳優デビュー。「池袋ウエストゲートパーク」(00/TBS)の怪演で注目を浴びる。映画『GO』(01)で第25回日本アカデミー賞の新人賞と史上最年少で最優秀主演男優賞を受賞。以降、『ピンポン』、『凶気の桜』、『Laundry』(02)、『俺は、君のためにこそ死ににいく』(07)、『東京島』(10)、『Monsters Club』(11)、『ヘルタースケルター』(12)、『ジ、エクストリーム、スキヤキ』(13) 、『愛の渦』、『サンブンノイチ』、『TOKYO TRIBE』(14)、『Zアイランド』(15)など多様な役を数多く演じてきた。『Silence-沈黙-』(17/マーティン・スコセッシ監督)でハリウッドデビュー。2019年配信公開予定のBBC×Netflix London連続ドラマ「Giri/Haji」ではメインキャストを演じ、今後もエリザベス・バンクスとの共演作品「Rita Heyworth with a Hand Grenade(仮訳邦題:リタ・ヘイワースと手榴弾)が待機中。モデルや「卍LINE(マンジライン)」名義でレゲエDeeJayとしての音楽活動も行っている。
斉藤由貴
斉藤由貴
Yuki Saito
東アキコ
1966年、神奈川県出身。1984年「少年マガジン」(講談社)第3回ミスマガジンでグランプリに選ばれる。明星食品「青春という名のラーメン・胸騒ぎチャーシュー」のCMが話題を呼ぶ。1985年「卒業」で歌手デビュー。同年テレビドラマ「スケバン刑事」(フジテレビ)で初代・麻宮サキに抜擢され注目を浴びる。12月『雪の断章-情熱-』(85/相米慎二監督)で映画デビュー。1986年連続テレビ小説「はね駒」(NHK)のヒロインを演じ、翌年「レ・ミゼラブル」で初舞台を踏む。以降、数多くの作品に出演。2006年宮藤官九郎脚本のドラマ「吾輩は主婦である」(TBS)の主演が評判となり改めて注目される。近年の主な出演作に映画『いぬやしき』(18/佐藤信介監督)、『フォルトゥナの瞳』(三木孝浩監督)、『空母いぶき』(19/若松節朗監督)、ドラマ「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」(フジテレビ)、「長閑の庭」(19/NHK)、舞台「良い子はみんなご褒美がもらえる」(19/PARCO)など。『三度目の殺人』(17/是枝裕和監督)ではブルーリボン賞助演女優賞を受賞した。
永瀬正敏
永瀬正敏
Masatoshi Nagase
東日登志
1966年、宮崎県出身。相米慎二監督『ションベン・ライダー』(83)でデビュー。ジム・ジャームッシュ監督『ミステリー・トレイン』(89)、クララ・ロー監督『アジアン・ビート(香港編)オータム・ムーン』(未)、山田洋次監督『息子』(91/日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞他)など国内外の100本以上の作品に出演し、数々の賞を受賞。台湾映画『KANO~1931海の向こうの甲子園~』では、金馬映画祭で中華圏以外の俳優で主演男優賞に初めてノミネートされた。河瀨直美監督『あん』(15)、ジム・ジャームッシュ監督『パターソン』(16)、河瀨直美監督『光』(17)ではカンヌ国際映画祭コンペティション部門に3年連続で公式選出された初の日本人俳優となった。近年は『64-ロクヨン-前編/後編』(16/瀬々敬久監督)、『Vision』(河瀨直美監督)、『パンク侍、斬られて候』(18/石井岳龍監督)、『赤い雪 Red Snow』(甲斐さやか監督)など。待機作として『ある船頭の話』(オダギリ ジョー監督)、『カツベン!』(19/周防正行監督)がある。また、写真家としても多数の個展を開き、20年以上のキャリアがある。2018年芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
     
森七菜
森七菜
Nana Mori
東美也子(少女時代)
2001年、大分県出身。2016年、大分県でスカウトされ、行定勲監督によるWEBCMで芸能活動を開始。2017年にはドラマ「東京ヴァンパイアホテル」(Amazonプライム・ビデオ)で女優デビュー。ドラマ「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」(NHK)、「イアリー 見えない顔」(WOWOW)、「獣になれない私たち」(18/日本テレビ)などに出演。2019年1月放送の「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ)で注目を集める。今後も、ヒロインの声を務めた『天気の子』(新海誠監督)、『東京喰種 トーキョーグール【S】』(川崎拓也監督・平牧和彦監督)、『地獄少女』(19/白石晃士監督)、『Last Letter』(20/岩井俊二監督)など話題の映画が控えている。
楽駆
楽駆
Raiku
東シュン(青年時代)
1996年、大分県出身。2017年、オフィス作主催新人発掘ワークショップオーディションより選ばれ、所属。俳優活動をスタート。映画『地獄少女』( 1 9 /白石晃士監督)ではメインキャストの一目連役をオーディションで射止めるなど、今後期待の若手俳優として注目を集めている。近作では、ドラマ・映画「女の機嫌の直し方」に出演。
牧純矢
牧純矢
Junya Maki
東麟太郎(少年時代)
2004年、神奈川県出身。7歳より芸能界入り。テレビ、CM、映画、舞台などで活躍。主な出演作にWEB CM「Lenovo」(13)、三菱電機「気象観測衛星ひまわり」(14)、舞台「十月大歌舞伎・寺子屋」「NINAGAWA・マクベス」(17/蜷川幸雄演出)、映画作品デビューは『風に立つライオン』(15/三池崇史監督)。「わたし旦那をシェアしてた」( 1 9 /日本テレビ)ではレギュラーの透役で出演。
外川燎
外川燎
Ryo Togawa
東麟太郎(少年時代)
2009年、東京都出身。3歳から子役として活動開始。テレビ、CMなどを中心に出演。主な作品に「上流階級」(13/フジテレビ)、「明日、ママがいない」(14/日本テレビ)、「何で離婚したの?」(15/テレビ東京)など。2015年、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」では小田村篤太郎役で出演。NHK「ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン」(15~17)にハッサク役でレギュラー出演した。水泳と英語が得意な小学5年生。
池田成志
池田成志
Narushi Ikeda
東盛一
菅原 大吉
菅原大吉
Daikichi Sugawara
木村善男
カトウシンスケ
カトウシンスケ
Shinsuke Kato
北島康介
玄理
玄理
Hyunri
小畑理恵
山本 浩司
山本浩司
Hiroshi Yamamoto
井住
小野塚 勇人
小野塚勇人
Hayato Onozuka
小野寺法正(坊主)
奥野 瑛太
奥野瑛太
Eita Okuno
拓二
諏訪 太朗
諏訪太朗
Taro Suwa
床屋のおじさん
常盤司郎
  • 監督・脚本・編集 
  • 常盤司郎
福岡県生まれ。映画、CM、ミュージックビデオの監督・脚本をはじめ、サザンオールスターズ初のドキュメントムービー「FILM KILLERSTREET(Director’s Cut)」(06)など様々な分野で活躍。実の父との関係を綴った短編映画『クレイフィッシュ』(10)がShort Shorts Film Festivalで最優秀賞と観客賞を開催初のダブル受賞し、国内外の映画祭で高く評価される。続く短編映画『皆既日食の午後に』(11)では世界10カ国以上の国際映画祭に正式招待。また河瀨直美監督らと競作した「CINEMA FIGHTERS PROJECT」(17)では、手がけた短編映画『終着の場所』が大きな話題に。本作が劇場長編映画デビュー作となる。
Director's Interview
― この物語は監督の実体験ですか?
 何年か前に亡くなった父親の思い出、幼い日の記憶、食の記憶など、全部手繰り寄せて書きました。舞台も福岡・筑豊で、筑豊弁でしゃべってもらっています。実際は脚本のような家庭環境ではないのですが、自分の記憶や行動が多分に入っています。父の作る初めての料理、焼き芋での爆発など、多くが子どもの頃に体験したことです。自分の食の好き嫌いも沢山入っていますね(笑)。
― 『クレイフィッシュ』『皆既日食の午後に』も家族をテーマした作品です。なぜ、監督は家族を描きたいと思われるのでしょうか?
 特に意識していないのですが、なぜか描いてしまっています。家族は近いようで遠い、遠いようで近い存在です。それは故郷も同じで、僕は幼い頃は故郷が嫌いだったんです。嫌いだけど好きで、好きだけど嫌い……。その愛憎が故郷や家族にはあるのかもしれない。その想いが強いから、結果、家族の映画になってくるのかもしれません。やりきれない想いだったり、悔しい出来事だったり、小さな幸せの瞬間だったり……。そういう様々な記憶が映画になるのかもしれません。
― そうそうたるキャストが集まりました。
 撮影に入る3年半前、誰よりも早く、染谷君が手を挙げてくれました。僕らは、4人目のスタッフだと思っているくらいです。それから、永瀬さん、戸田さん、斉藤さん、最後に窪塚さんが手を挙げてくれ、蓋を開けてみたら、これは見たことがない、というキャストが集まってくれました。
 この5人は、各々の立ち位置で映画界を牽引している方々ですが、共演している姿はほぼ見ていません。映画は、血のつながっていない家族の話ですが、その効果もあって、不思議な化学反応が起きた気がします。またジャームッシュ、スコセッシ、チェン・カイコー監督など、海外の巨匠の作品に出ている方々ばかりで、初監督ながらすごい経験をさせてもらいました。
― 染谷さんとの仕事はいかがでしたか?
 この役はもともと32歳の設定でした。でも、当時23歳くらいの染谷君を偶然テレビで見た時に、直感的にこの人だと思ったんです。染谷君は「この脚本には、ワンシーンたりともエモーショナルじゃない部分がない」と話してくれました。それは脚本に対する最大の賛辞だと思います。僕は彼に「家族になる瞬間を一緒に作りたい」と手紙を送り、僕らの映画作りが始まりました。
染谷君の演技は、想像を超えてくることが多く、とても感心させられます。また「編集で困らないように撮ってほしい。それが作品のためになるから」と言い、気がすむまで何度も演じてくれて、ある意味、戦友のような感覚です。
― ほかの出演者のエピソードもお聞かせください。
 戸田さんとは本読みのときに初対面でしたが、不思議と初めての感じがしませんでした。また美也子という役が戸田さんに導かれている感じがし、実際、麟太郎と美也子のファーストシーンを見ていると、既にきょうだいのようでした。深く役について話すことのできる、贅沢な時間を持てたと思います。
斉藤さんは本読みで第一声を発した瞬間に、『最初の晩餐』の世界が分かったというか、アキコと他の登場人物のリアクションが全て見えました。声というのは映画において大切な説得力を持っていて、その象徴がアキコでした。この役は繊細で複雑です。だから斉藤さんとは一番現場で話し合ったと思います。
永瀬さんは日本映画界をずっと支え、ジャームッシュ監督をはじめ、海外の作品にも多く参加されている、日本を代表する映画俳優です。僕の脚本を心から信じてくれていると感じました。徹底した役作りをし、20年の歳月を見事に演じていただき、現場でもとても大切なことを教えてもらいました。
窪塚さん演じるシュンは、ある種のオーラのようなものが確実に必要となってくる役ですが、窪塚さんにはそれが備わっていました。独特なエネルギーと、ものすごい熱量で、この映画に挑んでくれました。彼とは感覚的な部分がとても似ていて、思い描いている情景が重なる瞬間を、何度も経験しました。
― 撮影中で印象に残ったシーンはありましたか?
 物語の最後に、主人公の麟太郎と恋人の理恵が一緒に日向橋を渡るシーンは脚本に書かれていないことでした。日向橋は物語の象徴的な場所で、美也子やシュンも渡っています。でも、麟太郎だけは渡っていなかったんです。そのシーンを撮っている時に、これは麟太郎が橋を渡る映画だったんだ、と気づかされました。橋を渡ることで、将来、2 人が家族になるんだという予感が見え、心が震えたのを覚えています。演じることで、脚本より更に先へ物語が進んでいくという、象徴的なシーンになりました。
― 最後に、長編初監督はいかがでしたか?
 初監督というプレッシャーは不思議となかったです。僕は常に脚本を信じていましたし、その脚本をどれだけ現場で変えても良いと思っていました。僕が書いた登場人物に俳優陣が血を通わせて、実際に動いて、声を発し、脚本が完成していきました。スタッフも日本の映画界を代表する方々が集まってくださり、引き出しの豊富さにはとても助けられました。
7年前、わずか3人で「本当に作りたいものを作ろう」とスタートしたこの企画でしたが、最終的にこれだけのスタッフ、キャストが初の長編映画に集まってくれました。それはある意味、ものすごく贅沢な自主映画を作ったような感覚です。
  • 企画・プロデューサー
  • 杉山麻衣
愛知県出身。『自殺サークル』(02/園子温監督)で映画の世界へ。以後、キャスティングとして、『奇妙なサーカス』(05)、『紀子の食卓』(06)、『ラブ&ピース』、『映画 みんな!エスパーだよ!』(15)、『新宿スワン』シリーズ、Amazonプライム・ビデオ「東京ヴァンパイアホテル」(17)など、園子温監督作品に多く携わる。他に『シュアリー・サムデイ』(10/小栗旬監督)、『クローズEXPLODE』(14/豊田利晃監督)、『全員死刑』(17/小林勇貴監督)、『デイアンドナイト』(18/藤井道人監督)など。企画・プロデュース作品に映画『ライチ☆光クラブ』(16/内藤瑛亮監督)がある。
  • プロデューサー
  • 森谷雄
愛知県出身。株式会社アットムービー代表取締役。「天体観測」(02)、「33分探偵」(フジテレビ)、「ザ・クイズショウ」(08/日本テレビ)、「深夜食堂」(09/毎日放送)などの連続ドラマをプロデュース。映画は『シムソンズ』(06/佐藤祐市監督)、『Little DJ 小さな恋の物語』(07/永田琴監督)、『しあわせのパン』(12/三島有紀子監督)、『映画 みんな!エスパーだよ!』(15/園子温監督)、『曇天に笑う』(18/本広克行監督)、『そらのレストラン』(19/深川栄洋監督)ほか多数。監督作品に『サムライフ』(15)、『アニバーサリー』(16)がある。2017 年より「ええじゃないか とよはし映画祭」のプロデューサーも務める。
  • プロデューサー
  • 鈴木剛
宮城県出身。フリーの制作部としてキャリアをスタートする。映画、Vシネマ、テレビドラマ制作部、PV、民放バラエティー番組の制作など幅広く携わる。また、コマーシャルのプロダクションマネージャーとして約2年間CMプロダクションを経験する。ラインプロデューサーとして『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(10)、『渾身 KON-SHIN』(13/ともに錦織良成監督)、『ヒミズ』(11)、『映画 みんな!エスパーだよ!』(15/ともに園子温監督)他多数参加。プロデューサーとして、『ダメジン』(06)、『インスタント沼』(09/ともに三木聡監督)、『地獄でなぜ悪い』(13/園子温監督)などがある。
  • 共同企画
  • 中川美音子
千葉県出身。株式会社パトラッシュ代表取締役。ネットを中心とした広告の企画・制作を数多く手がけ、CANNES LIONS、One Show、ACCなど国内外の広告賞を多数受賞。日産自動車、日本電気、日本郵便、TOYO TIRESなどのブランディングショートムービーの企画・制作も数多く手がけている。映画の企画は本作が初めてとなる。
  • 音楽
  • 山下宏明
東京都出身。映画、ドラマ、舞台、CMなど多方面で作曲家として活躍。主な作品として、岩井俊二プロデュースの映画『虹の女神』(06/熊澤尚人監督)以降、『終着の場所』(常盤司郎監督)、『暗黒女子』(17/耶雲哉治監督)、『クソ野郎と美しき世界』(18/園子温監督ほか)など。映画以外では草彅剛主演舞台「家族のはなし PART I」(19)、ドラマ「東野圭吾 カッコウの卵は誰のもの」(16/WOWOW)などがある。2 016年、au「海の声」では第58回日本レコード大賞優秀作品賞(編曲)を受賞している。
  • 撮影
  • 山本英夫
岐阜県出身。日本映画大学の前身である「横浜放送映画専門学院」卒。『HANA-BI』(98/北野武監督)で第42回三浦賞、ポーランドのカメライメージ、シルバーフロッグ賞、『HANA-BI』、『中国の鳥人』(98/三池崇史監督)で第53回毎日映画コンクール撮影賞、『ホワイトアウト』(00/若松節朗監督)で第24回日本アカデミー賞優秀撮影賞、『THE 有頂天ホテル』(三谷幸喜監督)、『フラガール』(06/李相日監督)で第30回日本アカデミー賞優秀撮影賞を受賞他、第27回横浜映画祭撮影賞など。2012年には『ステキな金縛り』(三谷幸喜監督)で再び日本アカデミー賞優秀撮影賞受賞。近年には『3月のライオン』(大友啓史監督)、『昼顔』(17/西谷弘監督)、『記憶にございません』(19/三谷幸喜監督)、『罪の声』(20/土井裕泰監督)がある。
  • 美術
  • 清水剛
神奈川県出身。主な作品は『EUREKAユリイカ』(00/青山真治監督)、『ウォーターボーイズ』(01/矢口史靖監督)、『接吻』(06/万田邦敏監督)、『舞妓Haaan!!!』(07/水田伸生監督)、『アンダルシア女神の報復』(11/西谷弘監督)、『リアル~完全なる首長竜の日~』(黒沢清監督)、『共喰い』(13/青山真治監督)、『ラブ&ピース』、『ひそひそ星』(15/ともに園子温監督)、『信長協奏曲』(16/松山博昭監督)、『忍びの国』(17/中村義洋監督)、『センセイ君主』(18/月川翔監督)、『十二人の死にたい子どもたち』(19/堤幸彦監督)など多数。
  • 衣裳 
  • 宮本茉莉
福岡県出身。STAN-S主催。「SPUR」などのファッション誌を経て、映画へ転向。CM、ドラマ作品など多岐にわたる。主な映画は『父と暮らせば』(04/黒木和雄監督)、『八日目の蟬』(11/成島出監督)、『勝手にふるえてろ』(大九明子監督)、『武曲』(17/熊切和善監督)、『スマホを落としただけなのに』(中田秀夫監督)、『羊と鋼の森』(18/橋本光二郎監督)など。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(17)では衣裳監修。最新作に『最高の人生の見つけ方』(犬堂一心監督)、『見えない目撃者』(森淳一監督)、『ロマンスドール』(19/タナダユキ監督)がある。
  • フードコーディネーター
  • 赤堀博美
東京都出身。日本女子大学大学院修了。明治15年創立、日本で最古の家庭料理の料理学校である「赤堀料理学園」6代目校長。大学の非常勤講師を務める他、テレビの料理番組やドラマ、CMでの料理指導やフードコーディネート、食品メーカーのメニュー開発などを担当。管理栄養士としても、数多くの講習会やテレビ出演、出版物での栄養指導を行っている。
  • 整音
  • 横田智昭
栃木県出身。音楽映像作品、ドキュメンタリー作品、CMに多数携わる。常盤司郎監督の作品では短編映画『クレイフィッシュ』(10)、『皆既日食の午後に』(11)、『終着の場所』(17)を始め、CMなどの数多くの作品に整音・音響効果として参加している。「(株)丸二商会マルニスタジオ」所属。 
  • 照明
  • 小野晃
北海道出身。1983年に深作欣二監督『里見八犬伝』から照明技師・渡辺三雄氏に師事。1 9 9 6 年、森田芳光監督『(ハル)』で技師デビュー。『失楽園』(9 7/森田芳光監督)、『フラガール』(李相日監督)、『THE有頂天ホテル』(06)、『ステキな金縛り』(11/ともに三谷幸喜監督)で日本アカデミー賞優秀照明賞を受賞。他に『バトル・ロワイアル』(00/深作欣二監督)、『ゆれる』(06/西川美和監督)、『容疑者Xの献身』(0 8 / 西谷弘監督)、『清須会議』(1 3 /三谷幸喜監督)、『億男』(18/大友啓史監督)など。
  • 録音
  • 小宮元
茨城県出身。『愛のむきだし』(09)を始め、『冷たい熱帯魚』(10)、『希望の国』(12)、『地獄でなぜ悪い』(13)、『映画 みんな!エスパーだよ!』(15)など園子温監督作品に多く参加。他に『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(10/錦織良成監督)、『しあわせのパン』(三島有紀子監督)、『ツナグ』(12/平川雄一朗監督)、『もらとりあむタマ子』(山下敦弘監督)、『麦子さんと』(13/吉田恵輔監督)、『太陽』(16/入江悠監督)、『海辺のリア』(17/小林政広監督)、『美人が婚活してみたら』(大九明子監督)、『夜明け』(19/広瀬菜々子監督)など。
  • ヘアメイク
  • 橋本申二
山口県出身。ヘアメイク事務所「atelier ism®」代表。主な作品は『ライク・サムワン・イン・ラブ』(12/アッバス・キアロスタミ監督)、『許されざる者』(13/李相日監督)、『天の茶助』(15/SABU監督)、『山河ノスタルジア』(16/ジャ・ジャンクー監督)、『ミスター・ロン』(SABU監督)、『彼らが本気で編むときは、』(17/荻上直子監督)、『寝ても覚めても』(1 8 /濱口竜介監督)、『長いお別れ』(中野量太監督)、『新聞記者』(19/藤井道人監督)。広告はソフトバンク12年担当、マクドナルド、コカコーラなど多数。パリコレクションにも参加している。
  • 山岳コーディネーター
  • 大森義昭
神奈川県出身。30歳の頃、渓流釣りに興味を持って山に入ったところ、山の魅力にとりつかれる。その後、JECC(日本エキスパートクライマーズクラブ)での活動や個人山行で、谷川、穂高、八ヶ岳を中心に日本中の岩壁を登攀。97年より山岳ガイドとして活動。「Climbing School Off ice.Alpine」主宰。公益社団法人 日本山岳認定ガイド、株式会社石井スポーツグループ 山岳アドバイザー、マウンテンウェアの「MONTUR」、「HOTCHILLYS」ブランドアドバイザー。堤真一、草彅剛出演の舞台『K2』(10)、小栗旬、長澤まさみ出演の『岳-ガク-』(11/片山修監督)でも山岳コーディネーターを務める。
  • 音楽プロデューサー
  • 鮫島充
鹿児島出身。CMを中心に舞台、映画など幅広く活躍。主な活動に「ミラノ万博日本館」、「国立科学博物館 地球史ナビゲーター」、「NHKトップランナー」オープニングテーマ、舞台「学蘭歌劇 帝一の國」、「MATUSUぼっち03」など。常盤司郎監督『終着の場所』(17)の音楽を担当。CMでは「BUYMA“A Kind Drone”」がカンヌライオンズ シルバーライオン(デザイン部門)、「ネピア“Tissue Animals”」がアヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(広告部門)を受賞している。「P-CAMP」所属。
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イラスト1

Credit

Cast
東 麟太郎 染谷 将太
北島(東) 美也子 戸田恵梨香
東 シュン 窪塚洋介
東 アキコ 斉藤由貴
東 日登志 永瀬正敏
 
東 美也子(少女時代) 森七菜
東 シュン(青年時代) 楽駆
東 麟太郎(少年時代) 牧純矢
東 麟太郎(少年時代) 外川燎
 
東 盛一 池田成志
木村 善男 菅原大吉
北島 康介 カトウシンスケ
小畑 理恵 玄理
井住 山本浩司
小野寺法正(坊主) 小野塚勇人
拓二 奥野瑛太
床屋のおじさん 諏訪太朗
 
三岡(声のみ) 平原 テツ
木村 信子 渡辺 杉枝
木村 健男 西原 誠吾
木村 仁美 美智
東 ナオト 大迫 芽生
北島 美姫 堰沢 結愛
北島 大輔 潤 浩
塩沢 結由
医師 岩谷 健司
アキコの元夫 山本 修夢
食堂の店員 真下 有紀
杏子 東野 瑞希
小学校の先生 大辻 賢吾
台風中継のアナウンサー(声のみ) 千広 真弓
Staff
監督・脚本・編集 常盤 司郎
 
企画・プロデューサー 杉山 麻衣
プロデューサー 森谷 雄
鈴木 剛
共同企画 中川 美音子
撮影 山本 英夫
照明 小野 晃
美術 清水 剛
装飾 澤下 和好
録音 小宮 元
整音 横田 智昭
衣裳 宮本 茉莉
ヘアメイク 橋本 申二
小道具 尹 恵嫄
フードコーディネーター 赤堀 博美
VFX 本田 貴雄
助監督 丸谷 ちひろ
制作担当 金子 堅太郎
山岳コーディネーター 大森 義昭
音楽 山下 宏明
音楽プロデューサー 鮫島 充
 
協力 信州上田フィルムコミッション/上田市/上田市のみなさん
製作 『最初の晩餐』製作委員会
製作プロダクション アットムービー
宣伝 ミラクルヴォイス
配給 KADOKAWA
 
 
2019年/日本/ 127分/カラー/ビスタ/ 5.1ch

©2019『最初の晩餐』製作委員会

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